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「死にたいだなんて・・・そんな事を言わないで下さい。生きるのが辛いだなんて、悲しすぎます。僕みたいに笑ってみてください。笑っていれば、きっと良い事がありますよ」
突然声を掛けられて驚いているのか、僕の目の前のジャージの青年は目を丸くしていた。
「君は・・・?」
「僕は妹子っていいます。今、日和病院に入院中なんです」
「そっか、私は太子っていうんだ」
「太子さんですね」
「太子でいいよ」
「太子は、ここに入院してるんですか?」
「何でそう思った?」
「最近、よくここにいるのを見掛けるから」
「いや、入院はしてないよ。通院中なんだ」
「じゃあ、今日はもう家に帰っちゃうんですね・・・」
「・・・寂しいの?」
「えーと、寂しくはないかな…先生も友達も居るし。それに、今日は太子に会えました!!これもきっと何かの縁ですよ」
「なんで妹子はそんなに前向き思考なの…?」
「分かりません…でも、笑ってて悪い事はないですよ!!」
「うん…」
太子はそれから黙って、また俯いてしまった。
初対面でこんなに人と話した事がなくて疲れてしまったのか、と思っていると誰かが僕を呼ぶ声がした。
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