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僕を呼ぶその声は段々近付いて来ていた。
近付いて来る声の主は、少し怒っている様だった。
更に運の悪い事に、その声の主を僕は知っていた。
「妹子さん、何処に行ったのかと心配しましたよ」
声の主は、主治医の曾良先生。
「そ、曾良先生…」
「さぁ、早く病室に戻って下さい」
「あ、あと少しだけ、ここに居させて下さい」
「ダメです」
今日の曾良先生はいつもより機嫌が悪いのか、何を言っても無駄だった。
「じゃあ太子、僕もう戻らなきゃいけないから…」
「あぁ、じゃあな妹子」
そのまま、僕は半ば強制的に病室へ連れ戻された。
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