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友達にもよく言われるのだが……その話はまた後にするとして。
とにもかくにも、あたしは好奇心旺盛なのだ。
誰もいない公園、水を飲むでもなく、ウォータークーラーの前に立ち尽くす一人の少年。
――声を掛けてみたい。
考え付いたら即実行、とあたしは少年に歩み寄って行った。
「ねえ!こんなとこで何してるの?」
彼がゆっくりと振り向き、――思わず息を呑んだ。
まず目を奪われたのがその瞳。
夜空みたいに漆黒に染まるそれは、どこまでも透き通るガラス玉ような眼差しであたしを見る。
それに相反するようで、それでいて違和感のない雪のように白い肌。
色素の薄い唇。
そして綺麗に整えられた、こちらも漆黒の髪。
なんと言うか――場違いだ。
なんでこんな綺麗な人がこんなところにいるんだ。
「――何?」
自ら話し掛けたにもかかわらず、何も言わないあたしを不信に思ったのか、少年が無表情で尋ねた。
「――あ!えっと、何をしてるのかなって、ここから全然動かないし」
「……知りたい?」
あたしの慌てようが面白かったのか、少年は少し口元を緩めた。
「え、うん!」
「ふぅん。じゃ、見てて」
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