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「マジでドン引きだよ。アレはないわ。あの断り方はない」
その顔は本気でドン引きしていて、私も少し引いていたけどひきつりながらも笑ってみせた。
そこへ携帯の着信音。
「金谷から?」
携帯を取り出してメールの返事を打っていたら坂井くんが尋ねてきたので、そうだと答えると
「さっきの今じゃん。どんだけ早く恩地さんと会いたいんだよ」
ため息混じりに呆れられた。
その後で、
「もう大体は終わったから帰っていいよ。これ以上手伝ってもらってたら、俺が金谷に呪われそう」
可笑しそうに笑って解放してくれた。
荷物を持って昇降口に向かう。
ひとけのない昇降口に着くと、私の下駄箱の横で背中を下駄箱にもたれさせて立っている大樹を見つけた。
「大樹」
名前を呼べば、振り返って笑いかけてくれる。
そんな大樹に近付き、下駄箱を開けると見せかけて持ち上げた手を大樹の胸に押し付け、気持ちの勢いのままその唇にキスをした。
驚いて固まっている大樹に
「大好き」
私の心から溢れてる気持ちを渡す。
私宛てではなかったけれど、あれは間違いなく私への告白だった。
ルールを守ってくれてること、それだけで私を好きでいてくれてると思うことができる。
ルールが特別な約束になる。
キレイなルールは大樹のくれる特別な約束。
その数が増えるほど私は大樹を好きになる。
私にキスを返してくれる大樹を、もっと好きになる。
End
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