キレイなルール

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「部員に欲しい本をそれぞれリスト化してもらったから、それをこの中から探して棚に移して」 部員の人数分ある紙をヒラヒラさせる坂井くんに、恨みがましい気持ちになる。 「ちゃんと重複した本は削除してあるから」 削除作業は俺の彼女がやってくれたんだけどね、なんて言って、とりあえずと渡された紙は3枚。 坂井くんの手に残った紙の方が明らかに多いので文句は言えない。 引き受けたからには頑張るしかない。 メモを片手に本を探す作業が始まった。 初めこそ坂井くんが話しかけてくれたけれど、段々作業に集中し始めてお互いに無言でひたすら働く。 学校の裏側に面した部屋だから静かで作業も進む。 その静けさが良かったのか悪かったのか。 今日のタイミングでは悪かったに違いない。 「ずっと好きでサッカーするの見てました。サッカーするとこも好きなんです。付き合ってください」 そんな声が聞こえてきたのは、作業の終わりが見えてきた頃だった。 窓に近い場所にいた坂井くんが、聞こえた瞬間に窓に目を向けた。 ソーッと窓に近付いて私の視線に気付いたのか、こちらを見て悪戯っぽく笑い、外を覗く。 悪趣味だとは思うけど、その気持ちが分からないでもない。
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