キレイなルール

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呆れながら坂井くんを放って作業を続けていたら、坂井くんが小声で口にした言葉に手が止まった。 「金谷だ」 コイコイと手招きする坂井くんに、私も静かに窓際に移動する。 上から覗くと大樹がサッカー部のユニフォーム姿で立っているのが分かる。 そういえば、そろそろ練習が終わる時間だ。 女の子はストレートの髪をキレイに結んでいて、ハッキリ顔までは見えないけどたぶん可愛い子だと思う。 前にもこんなところを見たような…これがデジャブというものか。 女の子の告白する声は聞こえたけれど、大樹がなんと答えたのかは聞こえなかったから、静かに坂井くんを見れば、 「彼女いるからって断ったけど、女の子が頑張ってる」 どうする?と悪戯に笑う。 案外イイ性格らしい坂井くんにどう反応してみせようかと思っていると、女の子が必死な声で大樹を自分の方に引き寄せようと言葉を重ねる。 友達からでいい、今は二番目でもいい、金谷くんが好きなんです。 そう訴える女の子に、少し離れたところに立ったままの大樹が頭を掻きながら困ったらように応えた。 「彼女が他の女の子に触られるなって言ったら嬉しくてその通りにするくらいだから、約束を破らせるような二番目なんていらない」 悪いけど、好意を持たれてる女の子とは友達にもなれない。 そんな感じのことを言うと、女の子は固まったあとペコッと頭を下げて走って去って行った。 静かになった場所でハーッと大樹の大きなため息が聞こえ、大樹も歩き出す。 大樹の足音が聞こえなくなってから、坂井くんがボソリと言った。
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