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返して。
言いかけて、私から話しかけないルールを思い出し、黙って手を差し出す。
イヤホンは金谷くんの手にある。
「ねぇ」
金谷くんの声が教室に響く。
「俺が恩地さんを好きだって言ったら、恩地さんは俺を好きになる?」
私は笑った。
「そうかも知れないね」
そう言うと、金谷くんが唇をキュッと引き締めた。
「好きだよ」
聞こえたのは、4つの音。
「って言わなくてもバレてる?」
金谷くんの耳が赤い。
ピアスの穴のないキレイな耳。
私は微笑んだ。
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