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「ダーリン、おはようのチュー」
「!?」
俺はその唇を首を振って避けると、その顔は力一杯横の床に叩きつけられた。
ゴチッと何か砕いたような鈍い音がしたので、鼻かなにかやったかもしれない。
「……」
頭を伏せたまま動かない金髪巻き髪に一瞬避けた事を謝ろうかと思った俺がいたが、自分の状況でそれはしなくていいことを痛感する。
銀色の丸机に固定されたパンツいっちょの体。
手と足は手錠みたいなものでつながれていて逃げ出すことが出来ない。
「起きたのですの?林道様」
彼女は赤いフレームの眼鏡の割れたガラスを指で弾き飛ばしながら自分の顔を撫でた。
髪や肌色は外人っぽいが、顔はのっぺり。
服はゴスロリみたいなふりふりのドレスだ。
緑の目で俺を見つめながら彼女は俺を満足げに眺めた。
照明がやたら明るいその部屋には他の人間の気配もするが、まぶしくて部屋の奥行きさえもわからない。
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