1人目 未知との遭遇

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刃物を持った見ず知らずの彼女は、意図しない台詞にきょとんとする。 その愛の重さ故に盲目となった瞳は光を取り戻す。 「あの……あたしが、まとも?」 「うん」 「……あの、あたし、今あなたを殺してあたしだけのものにしようとしているんですよ?」 そこらへんの自覚があることにもホッとする。 「うん。で君のお名前は?」 「刃渡サキと申します」 彼女は包丁を持つ手ともう一方の手で制服のホコリを軽く払った。 俺はポケットに入るメモを取り出し、彼女の特徴とその武器を簡単に書き出す。 ーー刃渡サキ。正統派ヤンデレ。武器包丁。殺して自分の物にしようと迫る。割と普通。 コッチ系の遭遇対策の為に、このメモは命の次に重要なものだ。 「ホント、ここまで常識的な女性に会うのは久しぶりだよ」 俺の絶賛に、彼女は顔を赤らめた。 「そんな///」 「で、刃渡さん」 俺は顔を上げ、メモをパタリ閉じた。
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