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「しかも、あなたが花芽をつけてから、一番近くでその花の影響を受けてきたの」
『とにかくあなたと同じ症状の20件の前例があり、科学的には解明されていませんがその花には女性を寄せ付けるフェロモンを高濃度で分泌するようです』
ーー薄闇の中、声を潜めて語った医者の言葉が甦る。
『それも、この特殊なフェロモンにより周りの女性の性格が患者さん好みに変わったり、元あった性格や能力を引き出すという効果が上がっています』
……能力を引き出す?
今度は、軍人の男を軽く吹っ飛ばす姉の姿がリピートされる。
「医者から、話は聞いているわよね?」
『あれ?どこぞの遺伝子研究の組織に拉致られて五百年ほど生体保存させられるんじゃなかったの?』
『何でこっちの状況をそんなにも握っているの!?』
……あれは、当てずっぼではなく、全部知っていたんだ。
俺が誘拐されていたことも、おそらくあの落着きようから、メイドたちに救出されたことも。
全部動向を知っていたんだ。
いや、でもしかし。
……一個人で簡単にできる事じゃないだろ、これは。
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