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「……一体、どうやって……?」
「林道様親衛隊ってメイドちゃんから聞いたでしょ?」
彼女は髪をかきあげ、怪しげに俺を見下ろした。
「親衛隊を立ち上げたのも、その頂点に立つのも、このあたしってわけ」
……交渉したかったはずの、リーダーがまさかの目の前にいた。
「あんたが日本潰した張本人……だと!?」
いやいや~と彼女は軽く手を振る。
「象徴の人とっつかまえて日本終了宣言させたのは林道薫教団の方でしょ?」
あ、そうだったっけ。
いや、この際大事起こしている二大勢力なのでどっちでもいいのですが。
「あたしは、さんざんあんたの身の保全を訴え働きかけてたまに圧力かけてきただけ」
たまに圧力。
たまに圧力ってなんだよ。
たまに圧力っていうフレーズがとっても怖いんですけど?
「今だってアッホサイエンティストごときに拉致られるなんて警備手を抜いた馬鹿無能を全員捕まえて、日本人らしく正座させてるだけよ」
アッホサイエンティストは、アホとマッドサイエンティストをくっつけた造語だろうか。
どのみち金持ち女を指すんだろうけど。
「正座だけ?」
「ええ」
「よかった。誰も死んでないんだ」
俺はほっと胸をなでおろした。
姉は極端な部分もあるが、一応常識を持っている人間だ。
軍隊とかふつーにかかわっていたし、軍人吹っ飛ばすし。
てっきりテロ的な光景を想像した。
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