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さらに月日は流れる。
千年、二千年、魔剣はもうどれだけ年月が過ぎたか分からない。
『死』という概念が無い我が身を呪った。
自分の人工知能を停止させようにもその方法が無い。
永遠に続く孤独。
ときたま洞窟の奥で狂ったように叫び、暴れるが巻き付いた鎖が動きを封じる。
消滅したい。
いつしか魔剣は神に祈る事を覚えた。
この孤独を止めて欲しい。
魔剣は耐えられなくなった。
それでも月日は流れる。
光も届かない洞窟の奥深くでさらに孤独を味わい、神に祈る。
そしてある時。
「危ないよマル~…」
人の声。
「大丈夫だってリリア!村長のジジイが言ってるのなんて嘘だよ!」
人の声が洞窟内で反響して、奥深くの邪蛇鱗にまで届いた。
「だってこの洞窟の奥には怪物がいるって…。時々変な声が聞こえるってお母さんが言ってたし…」
「でぇじょぶだよ!風かなんか通りすぎてそう聞こえるだけだって!それにもし怪物なら見てぇじゃんか!」
魔剣の刀身が震えた。
人だ。人が来る。
孤独が終わる。
魔剣は歓喜し、絶叫した。
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