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「きゃ!?」
女の子の悲鳴が聞こえた。
「お願いもう帰ろうよマル~!私もうダメ~!」
「うひひ~!盛り上がって参りましたよ~!もうこりゃ奥に行くしかねぇべよこのノリは!よっしゃレッツゴー!」
男の子は元気のいい声を洞窟内いっぱいに響かせた。
そうだ!こっちだ!
こっちに来てくれ!
魔剣は封印の鎖をガシャガシャ鳴らす。
人、人、人だ!
孤独じゃなくなる!
「感情」などというシステムは組み込まれていないはずなのに、なぜか魔剣の鍔に付けられた目に涙が溜まる。
泣きながら疑問に思い、泣きながら分かった。
邪蛇鱗の中にある「お鱗」の成分が震えている。
そうか、そうだったのか。
自分にも「心」と呼ばれるものがあったのか。
今やっと、やっと気付いた。
人、心、自分、他人。
それが世界。
「うへぇ!?なんだこれ!?」
ヤンチャそうな男の子と、その背中にピッタリとくっつく女の子を見た時、邪蛇鱗は魂が救われたように号泣した。
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