日常生活

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大学生になって、少し経った。 大学生活が今までと違うところといえば食堂の飯が旨いことと高校時代には授業中にコソコソ弄っていた携帯を堂々と弄っている人が多いくらいである。 あとは睡眠時間。 それ以外は全く今までと変わった気がしないなあ、などと感じながら俺は相変わらずのぼっち飯を貪る。今日は鉄板焼きだ。 じゅう、といい音がしている石焼きの板が乗った重いお盆を抱えて俺は一人用の席に座る。 肉はよく焼いて食べるべし。はっきり言って生肉というのは美味であるのだが食中毒の原因となる。俺もうっかり食中毒になったことが何回か。 しっかり焼けた肉を口に運びつつ辺りを見回す。夜だからか、人はそこまで多くない。もぐもぐと咀嚼し、飲み込みながら俺は思案に暮れる。飯はうまい。 そもそも現代文学が好きで文学部を志したはいいが、文学は虚学と言われることも少なくない。 文学とは、何ぞ。 文字数が多ければいいのか、それとも世間に好まれればよいのか? 否、断じて否。 現代にはチューインガムのように味わっては捨てるを繰り返すような同じ雛型をなぞった小説が満ち溢れている。だがそれらを愛好する人が文学を識らないのだろうかと言われたらそれも、否。 否定することはとても簡単だ。しかし真実というのはそれ如何にあるのか。肯定ほど難しいものはない。 虚を学ぶ虚学、というよりも掴めないものなのではないだろうか。文学という名でそこに鎮座しているように見えて、実際はそれは虚像であり、俺にはそれが掴めない。 そのようなものではないのだろうか―― 「……何だ、これ」 俺の書きかけの原稿用紙を掴んだ友人が言った。食堂で広げたせいか、若干油染みがついている。あんにゃろ、あとでどうにかしてやる。 「何って、課題の創作小説だけど」 「これは小説なのか? 単純にオマエの日常生活を書いただけだろ!」 馬鹿じゃねえの、と言って友人はミートソーススパゲティを啜る。だからソースが撥ねる。ふざけんな。 肉はよく焼いて食べるべし。はっきり言って生肉というのは美味であるのだが食中毒の原因となる。俺もうっかり食中毒になったことが一回ある。しっかり焼けた肉を口に運びつつ辺りを見回す。 昼間だからか、食堂は人だらけだ。もぐもぐと咀嚼し、飲み込みながら俺は思案に暮れる。 これはフィクションで間違いないだろう、と。
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