小さなピュアハート

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小さなピュアハート

毎日が相変わらず平凡に過ぎて行く… 彼は、30歳を越え落ち着きを得たせいか、日常の生活にあまり刺激を感じなくなっていた。 ホテルのレストランで責任を持つ立場に出世し、経済的に少しはゆとりが出来たものの、恋人もいない生活は、退屈と言えた。 夏の季節は、観光シーズンでもあり、忙しい日々が続く。 マナーの良くない宿泊客の相手をし、後片付けに時間を費やし、帰宅は深夜になることもある。 そんな日々が淡々と続く… ある夜のこと…レストランの入り口から真っ直ぐに続く廊下を、可愛らしい女の子が、スキップん踏みながらやって来る。 まるで小さな天使…8歳くらいだろうか。 「うわぁ!!」 はじめて垣間見る、ディナーバイキングの迫力に、女の子の目は輝き、夢のような世界に感激している。 並んだ料理の数々を愛でながら、彼女の心は、キラキラと高鳴っている。 大きな深呼吸をつくと、彼に言葉を投げる。 「ねぇ…、これ全部食べていいの」 バイキングとはそういうものだ。 「いいよ」 「えぇ!!全部食べていいんだ」 側に立つ、従業員の彼に向けた笑顔は、全てを癒してくれる。 明日も頑張ろうと、彼は心で呟いた。
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