67人が本棚に入れています
本棚に追加
「貴様が【召還者】でないのならば用は無い、また先程のような妖が出ないとも限らぬ、助けてやった礼などいらぬからさっさと帰るがいい」
そう言って歩き始める彼女、何が何やらもうさっぱりだ、とりあえず危機を脱出できただけでも良かったのかもしれない。
「助けてくれてありがとな」
そう言って瞬きを一つした時既に彼女は視界から消えていた。
全く何から何までまるで漫画のような展開、本当に夢でも見ているんだろうか、一応お約束通り頬を思いっきり抓ってみる。
……お約束通り鈍い痛みが虚しく頬に広がって心も虚しくなった。
真紅のドレス、朱い髪の可憐で不思議な少女、そして巨大な蜘蛛に変な刀。
五月十九日、それはまるで吹き抜ける風のように一瞬の出来事だった。
Next episode.
最初のコメントを投稿しよう!