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「ほらよ」 リビングのテーブルの上にカレーを置く。 ジト目でそれを見つめる爺ちゃん。 「これはなんじゃ」 「何って普通のカレーさ」 いかん棒読みになってしまった、しかし流石は家の爺様といったところか、どうやら食す前にレトルトである事に気付いたらしい、作ってるとこ見られない様に気をつかってたんだけどな。 「ふん、よかろう。たまにはレトルトでも勘弁してやるわ、しかし次このような手抜き品をわしに出したら――」 そう言いかけて爺様は固まった、俺の腰一点を見つめて。 「慶よ、お前が腰に下げているそれは……」 腰を見る。 そういえばあれからずっと鞘をぶら下げっぱなしにしていた、どこぞの外見オンリー美少女こそ泥に泥棒されてしまったので無論刀は鞘にささっていない。 「あぁ、この鞘がどうかしたのか?」 まさかこの鞘があの左文字、だったか。戦国時代の名刀のものだと気付いたのか? 家の爺様なら十分あり得る、骨董品大好きだから。 「えらく煤けとるな、何処でそんなもの拾ってきたのじゃ」 そうだよな。分かるわけないよな。 手元の鞘を見る、煤けており所々金で施されていたのだろう装飾も剥げている。 ため息を一つ、というか本当にあの刀は戦国時代に作られた名刀なのか。
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