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そういえばあの少女は刀の事を愛刀と言っていたな、……どう考えても嘘っぽい。 けれど彼女の動き、一部始終を見ていたがとても同じ人間とは思えなかった。 ――まさか彼女は戦国時代の人間? 「そろそろわしは帰るぞ。次からはキチンと七時までに家に帰って美味い飯を作るのじゃ。慶、聞いておるのか?」 「あっ、ああ。今日は悪かったな」 爺様の声で思考にピリオドを打った。 馬鹿馬鹿しい、戦国時代の人間が現代に?我ながらYAMADAさんに座布団を持っていかれそうなつまらん妄想をしてしまった。 そんな非現実的な事があってたまるか。 きっと何かの間違いもしくは見間違い、はたまた勘違い。そうに違いない。 爺ちゃんが食べ終わった食器をシンクに入れて玄関で草履をはく。 シンクに入れるくらいなら洗っていけばいいものを。 「それじゃあ夜更かしせずにさっさと寝るんじゃぞ」 「あぁ」 二つ返事で返す。いつまで俺の事を子供だと思っているのやら。 狭くるしい1Kアパートの玄関から爺ちゃんが出て行った。 さて、今日は宿題もあるしさっさと片付けてしまうとしよう。 そう決心して宿題に取りかかる。 ――そういえばあの女、刀は持っていったが鞘はいらなかったのだろうか。
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