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「さっ、鞘は返すから!首を絞めるな!」
そう言うと彼女はやっと解放してくれる。
危ない危ない、もう少しで藤壺戦線の一員になってしまう所だった。無論嘘八百。
家の居間に置きっぱなしにしていた鞘を持ってきて彼女に渡す。
「というか何でこんなとこで寝てたんだ?」
そう言うと彼女は急にに頬を赤らめてスカートの裾を両手でギュッと握る。
「きっ……、貴様には関係にゃいだろ!!」
…………ストライク、ド真ん中。
「何だって?関係にゃい?」
「うるさいっ!ちょっと噛んだだけだ!だいたい私が何処で寝ようが私の勝手だろう!」
そう言ってますます顔を赤くする彼女。
一体何をそんなに恥ずかしがる理由があったのか。
「……それよりどうしてここが分かったんだ?」
そう言って俺も彼女の横に座る。
もう辺りも真っ暗の中、古いアパートの前で体育座りして並んでいる若い男女が二人、青春ポイントもウハウハである。
「名は何という」
そう彼女が呟いた。
「羽柴慶だ」
条件反射的に返答してしまったがこいつ話逸らしてないか?
「……少し長くなる。貴様の家で話さないか」
何なんだこの展開は、えらく真剣な表情をしているが……。
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