prologue

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――駄目だ。 どんなに動かそうとしても足が動かないしまるで金縛りにでも合ったかの用に目前の化け物から視界を逸らせない。 ……金縛りになんて今まで一度も合った事ないけど。 蜘蛛が迫って来る、一歩、また一歩。 一歩、一歩、とは言っても六本足で動いているから割と滑稽な風景なのは言うまでもない、うん。 歩く度に地響きが聞こえ、あの甲高い鳴き声と合わせて考えても目の前の化け物はいつも三分しか地球にいる事の出来ない「ジュワッチ!」とか言ってるあの某ウルトラな人が戦っている敵に出てきそうだ。 ……蜘蛛が俺の目の前で歩みを止めた。 同時にリズム良く聞こえていた地響きも止む。 ――もう逃げ切れない。 そう確信した。 恐怖のせいか何故か分からないが足が動かない、蜘蛛は少し顔を出せばマウストゥマウス状態になりそうな距離で俺を吟味しているのか見つめていた。 しかし我ながら滑稽な死に方だ、巨大な蜘蛛らしき化け物に食われて死ぬなんて。 三流映画のやられ役の方がまだマシな死に方があるだろうに。
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