prologue

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大体今日は何かと失敗だらけだ、人気の無い路地をたまには寄り道してゆっくり学校から帰ろうかな、なんて思って実行に移してしまった事がそもそもの失敗だし、その路地でたまたま露店を開いていたちょっと美人なお姉さんに 「そこのお兄さんちょっと見ていかない?」 と言われてええ貴方ならどれだけ見つめていてもきっと私の目の保養になるでしょう。 と小洒落た台詞で紳士らしく応対したなんてのはジョークだと言うまでもない。 結局その美人なお姉さん曰わくはるか昔戦国時代に作られた銘刀、確か名前が何とかさもんじだったかさまんじ……、だったかをお姉さんのハード・プッシュに負けて買ってしまった事も失敗だし、その後この林に迷い込んで蜘蛛野郎に出会っ ――待て。 刀……、それだ。 最終手段だ、このままみすみす蜘蛛に食われて童貞の内に死んでたまるものか、もちろん最後のはジョークだ。 この刀で蜘蛛と戦う……まではいかなくとも蜘蛛も刀を見れば少しは怯えてくれるかもしれない、もちろん今俺が内心八割程度ヤケになっているのは言うまでもない。 美人なお姉さんのハード・プッシュでバイしてしまった刀をそういえばぶら下げっ放しにしていた腰の鞘から抜く。 よく見れば刃は少し錆びているし刀身もくすんでいる、戦国時代の銘刀だなんて嘘っぱちもいいところだ。
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