prologue

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「言ってる言葉の意味が分からない、触媒だの召還だの……、そもそもその左文字とかいう刀は俺が買った物だ、返せよっ――」 彼女の手に握られたままの刀に手を伸ばそうとして我が目を疑った。 何故、だ。 さっきまであれほどくすんで見窄らしかった筈の刀身はまるで刀その物が光っているかのように磨きあげらており、刃は綺麗に研ぎ澄まされている。 この少女が刀を手にしていつの間に変化したのか、どこからどう見ても立派な刀がそこに在った。 くすみが取れて浮かび上がったのだろう、その銀色の刀身には刻印されている文字が見える。 【禄三年五月十九日義元討補刻彼所持持刀織田尾張守信長】 ……何だこの奇天烈奇怪な文字達のパーティーは、辛うじて理解出来るのは五月十九日という日付を表す言葉だけだ。 「この文字はどういう意味なんだ?」 「貴様に教える義理など無い」 即答された、別に悲しくはない。 「今一度問う――我が愛刀、幼刀宗三左文字【ヨウトウソウザサモンジ】を触媒に私を現世に召還したのはお前か」 「だからお前が言ってる事の意味が――」 「御託はいらん、答えられないのれば問答無用で斬る」
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