激闘

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俺は晢の父親に電話をかけた。 しばしの呼び出し音の後、 「はい寺岡です。」 思ったよりも若い声が出た。 「私乗神と申します。 晢君の同級生の父親ですが、 晢君のことで少しお話ししたいのですが」 とたんに電話の向こうで息を飲む気配がした。 「晢がどうかしましたか?」 「いえ誰も晢君の世話をされていないようなのですが?」 「それが何か関係あるんですか?」 電話の向こうの声が尖る。 「大アリです。彼は今ウチで飯食ってますから。」 「・・・。」 「もしこのままなら、しかるべき行政機関に連絡する事になりますが。」 俺は少し脅しをいれた。 「なら勝手にして下さい。私にはもうあの鬼の子の面倒は見れません。」 電話は切れた。 俺はしばし呆然とした。 こんなにあっさり自分の子を捨てられるものなのか? 俺はいなくなった妻を思い出していた。 「おっちゃん。僕はどうしたらいいの?」 心配するな。 「好きなだけウチにいたらいい。 俺がなんとかしてやる。」 晢は初めて安心したような顔をした。
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