seen.1~日常~

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情けない。本当に。 俺は学校に行く支度を済ませると、染み付いた習慣でトーストを焼く。焼いたトーストを平らげ、ミルクティーを煽ると外に出た。 しっかりと鍵をかけた後、すぐ目に飛び込んで来たのは、朝のラッシュにはまる渋滞の列。 家の真ん前がこう混雑してるのは、勘弁してほしいものである。 しかも広い道路への抜け道がここにしかないため、毎日毎日この狭い道路は車の列で埋め尽されるのだ。 これも朝のうちだけなんだろうが、見ていると永遠に続くメビウスのようで、こっちまで気が滅入るからたまらない。 アパートの駐輪場にある自転車にまたがると、ふと空を見上げた。 何処までも澄んだ青は空全体を埋め尽していて、黒くなっていた心さえも少しずつ、癒してくれる要素の一つにも思えた。 時折頬を霞める暖かい風が、俺の気持ちを軽くさせる。 だが………… すぐにそれもモノクロームに変わるだろう。 自分にはわかるのだ。世界には色が無いということを。 大切なものを失うことで。知ってしまったから…… なにも変わらない空。 なにも変わらない色。 なにも変わらない日常。 そしていつものように思う。 俺は今日もなんの為に生きていこうというのか。 なぜ、自分だけが生き続けているのだろうか……と。 【混色の銀夏】 seen.one―every day the world that faded…… ・
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