招待状

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亀の話をまとめると、次のようになる。 太郎に助けられた後、亀はただちに竜宮城に帰り、城主である『乙姫』に経緯を話した。 『乙姫』は、すぐに亀に、太郎を招待するように言った。 それから、太郎を招待するための準備が進められ、ある程度メドがついた所で、亀が太郎を招待する為のメッセンジャーとしてやってきた、と、言うのである。 「太郎や、行っておいで」 話を聞き終え、しばしの沈黙の後に、太郎の母は言った。 「母さん!?」 太郎は驚きの声を上げる。 それもそのはず。 太郎の母は、身の回りのことくらいなら何とかなるとはいえ、もともと病弱な身。 食材の調達など、到底無理な話である。 今までだって、庭で育てたわずかな野菜や、太郎が釣ってきた魚などで何とか暮らしていたのだ。 太郎がいなくなれば、畑の世話だって出来なくなるし、魚だって当然取れなくなる。 亀の口ぶりだと、1泊やそこらで済みそうな雰囲気ではない。 「俺が居なくなって、一体誰が母さんの世話をするんだ」 太郎は母に向かって言った。 「その事でしたら」 答えたのは亀だった。 「その事でしたら、竜宮城から誰か、お母様のお世話をするものを伺わせます」 しばしの沈黙。 「太郎や、亀さんもこうおっしゃっていることだし。 わたしは大丈夫だから、行っておいで」 母の言葉に、太郎は竜宮城の招待を受ける事を承知したのだった。
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