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太郎は、どこにでもいるような、平凡な青年だった。
可もなく不可もなく。
コレといって特技もない、そんな、ありきたりな青年。
趣味は、実益を兼ねた釣り。
コレだって、海岸近くに住んでいる太郎としては、ごくありきたりな趣味だろう。
それに、特技というほどうまくもない。
自分と、年老いた母親とが食べる分が釣れる程度だ。
希に豊漁の時もあるが、そんなときには太郎は、自分たちの分と、親友の勲(イサオ)の家におすそ分けする分を除いて、全て海に返してしまう。
商売にしているわけでもないし、とりすぎても仕方がないと、思っているからだ。
この日もまた、太郎は釣りにやってきた。
いつものとおり、夜明け前から海にやってきて、釣り糸をたれていた。
幸いこの日は大漁で、瞬く間に魚籠(ビク)はいっぱいになる。
いつものように、もっている魚籠がいっぱいになれば、釣りは終了だ。
まだ昼前だったが、太郎は家に帰ることにした。
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