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太郎は、慌てて子供たちに近づき、言った。
「コラ!生き物を苛めちゃだめじゃないか!」
太郎が子供たちをしかりつけると、子供たちは、とりあえず動きはとめたものの、不満をあらわにしている。
「なんだよぉう。こいつ、おまえの亀なのかよ」
一番体格のよさそうな子供が、ほっぺたを膨らませながら太郎に文句をいってきた。
「誰のモノでもないさ。亀は亀だけのものだろう」
太郎は子供たち全員を見回して、そう言った。
それに答えたのはやはり先程の子供だ。
「俺たちが先にみつけたんだ。どうしようと勝手だろ!?」
「そんな理屈があるか。 よし、判った。それなら、この魚を君たちにやろう。魚と交換だ。それならいいだろう?」
太郎は今日釣ってきた魚を、子供たちに渡した。
「えっ!?いいの、こんなにたくさん!?」
意外と素直な子供たちの反応に、太郎はにっこり笑んでみせた。
「いいよ。そのかわり、もう生き物を苛めたりしちゃ、だめだぞ?」
「わかった~!ありがとう太郎さん!」
魚をもらった子供たちは、去っていった。
太郎もホッと胸をなでおろし、家へ向かって歩き出した。
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