はじまり

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「早く~ あけろ~ すぐ近くまで来ている」 扉の向こうで、叫んでいる。 どうしょ~開けたらいいのだろうか? 信じていいんだろうか? ガタガタガタ 「ぐおぉぉぉ~」 断末魔とも聞こえる声が響いた 何かが床をかく音が… 俺は最大のミスをしてしまったのかも、ゆいつの手掛かりとなるチャンスを… 簡易の槍を構えたまま、扉を見つめていた。 扉の向こうで、行われてる事を思うと、吐き気がしてきた。 あの黒い影の奴が… 啜る音 硬いものを噛む音 噛みちぎる音 この扉だけが、俺にとって唯一の守り… この一分が今は計りしれない時間に感じる。 この先、どうしたらいいのだろう~ ふっと、頭の中に思いが過ぎった! 扉の外にいた奴は、何故、俺がこの部屋に居る事が解ったんだろう? ここに来てから、誰一人として会ってない! 人影すら見てないのに… だとしたら… あの黒い怪物も、俺の居場所も解っているのかも? だとしたら、ここに居る事は危険… 扉の向こうの奴の次は俺? どうする? カーテンの隙間から外を覗くと、暗闇の中に何が動く気配が… ここから出ると、奴の餌食になるのは、間違いない! 逃げ場は? この部屋に居れば、いずれ… 考えろ… よく考えろ… ワンルームのマンション 逃げ場所は 一つあった! ワンルームマンションは大概、ユニットバスのはず。 ユニットバスの天井に点検穴がある、その穴は、このフロアー全体に繋がっているはず 前に、何かの事件で新聞に書いていた。 その穴に、隠れて相手の出方次第で逃げよう! ユニットバスの天井を開けて、その穴に身体を隠した! どれぐらい時間が過ぎた? 扉の気配が消えた 下に降りてみると、カーテンの隙間から、薄っすらと日の光りが差し込んできた。 夜明けだ!
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