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声を発した男は、思考回路の停まった俺に声をかけ、腕を掴んだ!
「ここにいると、間違いないなく死ぬぞ!
説明は後!
早く着いてこい!」
そう言って、俺の腕を掴んだまま歩きだした!
「いったい」
「静かに!」
と、男は小さく言った。
その気迫ある目に押されて、俺は黙りこんだ。
男は俺の腕を離して、ただ一箇所を見つめて歩いている。
俺はただ男の後を歩いた!
お互いに無言のまま
歩いていると、また、自販機を見つけた。
なぜ?自販機だけが、普通に稼動しているのかが不思議だった。
男は自販機を見て、一瞬顔が曇った!
その表情を見て、男に訳を聞きたいのだが、男は歩くスピードを一段と早くした。
後を着いて行くので、いっぱいで聞く機会がない。
どれぐらい歩いただろう~
休憩も無しで、ひたすら…
喉もカラカラ
先に歩いている男の腕を掴んで、休憩の合図をした!
男は俺の顔を見て、少しうんざりした眼差しをしたが、直ぐに視線を外して周囲を見渡した!
道路際に、植林があった。
男は植林の中の一本の木の根元に座りこんだ。
で、俺にも横に座るように合図した!
何時間ぶりに座る事ができた。
男は静かに口を開いた
「木の根元は、水分が多いから奴らに見つかりにくい。
奴らは、水分に敏感なんだ!」
「なら、人間は水分の固まりだから…」
「そう、簡単に狙われやすい!」
「なら、俺達も…」
「それは、多分、大丈夫だと思う」
「なぜ?」
「停まらず動いているから!」
俺には男が言っている意味が解らない
男は
「奴らは、動いている物体に対して、反応しにくいのさ。
だから、餌を撒いて待っているんだ!
さっきの自販機を見ただろう?
あのジュースを飲んだ時点で、奴らの追跡が決定するんだよ」
「前日、俺が隠れてるとこに集まってきたのは…」
「うん、それでよく生きていたなぁ~
ある意味、奇跡だぜ」
俺は昨夜の話を男にした。
俺の話を聞いた男は、小さくため息をついた。
「その男が、君の身代わりになったんだろ!
あ、君を責めてる訳じゃないから
その状態なら、君の行動が正解だと思う!
映画で、ゾンビを知ってるか?」
男の唐突な質問に、少し戸惑ったが
「知ってるけど…」
「あれと同じ事さ!奴らに襲われると、襲われた奴も、奴らと同じようになるんだよ。影の怪物に…」
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