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「刑務所でなぜここに?」
「俺は死刑確定だったからね、その死刑が執行されたんだ!
死んだはずなのに、気がついたら、あのエレベーターの中にいたのさ」
窓の外を見ながら、高橋は話を続けた。
「俺も最初は訳が解らなかった!
死んだはずだから、ここが死後の世界だと思った。
だか、死後の世界じゃない!
食べないと、衰弱するし、喉も渇く!
それに、痛みも哀しみも…」
「それだけで?」
「もちろん、違うさ!
確信なんて無い、俺の感」
「ま、その話は解った!
奴の話を聞きたい」
「奴か…」
「そう!何故、水辺が解らなくなる?」
「それは、俺がこの場所に来た時に、お前と同じように、無駄に逃げ回った!
で、怪物じゃない人を見つけたんだ。」
「その人に教えてもらったのか?他にも人間がいるのか?」
グラスにウィスキーを注ぎながら、高橋は
「いるよ!
ところどころに、隠れて出て来ないけど…
俺は、逃げ回った時に、見たんだ。」
「何を?」
「俺が見たのは、人が襲われる瞬間!
そいつらは二人で行動していた。その時に襲われたんだ!
一人は、水辺、一人は川原に」
「で、襲われたのは川原だけか?」
「そうだ!
でも、それだけじゃない。
一人が、襲われ、そして怪物に変わったんだ!
その後、水辺に居た奴は、腰を抜かして動けなかった!
俺は、次に奴が襲われると思った!
だが、奴らは襲わなかった!
人の気配は解るみたいだけど、見えてないみたいに、やみくもに探しはじめた…
水辺にいた男は、逃げる事もできないのか、座り込んだまま」
「怪物はどうしたんだ?
その男は最後はやられたのか?」
俺は、高橋に食らいつく勢いで質問した。
高橋は落ち着いて
「殺されなかった!
でも、結果は殺されたけど…」
「意味が解らない!」
「その男を探してる時に、エレベーターが現れたんだ!
怪物は、男を捜すのを止めて、エレベーターに向かったんだ。
男は命拾いをしたんだ!
そして、俺と行動を共にするようになった。
ある時、奴は不注意で、襲われてしまったけど…」
窓の外に何か動きが…
高橋は窓の外を見ながら、
「あそこに、うろうろしている怪物が、その時の奴だよ!
この小屋は、奴の隠れ家だったから…
記憶のカケラにでも、あるのかも!」
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