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「姉ちゃんが、結婚した。」
「そうだね。」
ゆっくりと話す俺を、ひかるはまっすぐ見つめて聞いてくれる。
「みんなに祝福されて、みんな幸せそうだった。」
「…うん。」
ひかるは俺の言いたいことが大体わかったのか、俺の肩を抱いた。
「俺たちは、祝福されない。知られてもいけない。誰も認めてくれないんだ。」
それでも、ひかるは幸せって言える?
「…こうたは、俺といても幸せじゃない?」
「んなわけないじゃん!俺はひかるさえいれば…!」
俺の返事にひかるは満足そうに微笑み軽く口付けた。
「俺も同じ。誰も認めてくれなくても、こうたがいれば…それだけで幸せ!」
「ひかる…」
さっきまで悩んでいたのがバカみたいに思える。
俺は、誰かに祝福してほしいんじゃない。
隣でひかるに、幸せそうに笑っていてほしいんだ。
「それに、こいつらなら祝福してくれるんじゃない?」
にやりと笑うひかるの視線の先を見ると、
いつの間にかメンバーは俺たちを見て微笑んでいた。
「ちょっとやぶちゃん、僕たちのこと忘れないでよね。」
「そうだよ。やぶくん、俺たちだけじゃ不満?」
ご機嫌ななめのちねんとゆうとを、けいととやまだがなだめている。
そうだ、俺の周りにだって、祝福してくれる人がこんなにいるじゃないか。
「ひかる、みんな…俺、幸せ!」
End.
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