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「ちねん…よかったの?」
「りょうすけだって、同じでしょ。」
気付けば泣きそうだったちねんの目からはもう涙がこぼれていて、
俺自身も泣いていることに気付いた。
「ずっと、ひかるくんが好きだった。見てるだけでもよかったんだ。二人を別れさせるつもりなんてなかったのに…でも、ひかるくんが僕を見てくれるのが嬉しくて…でも本当に見てるのはやぶちゃんで…」
泣きながらでてくるちねんの言葉は、痛いほど俺の心に入ってくる。
俺もちねんも、同じなんだ。
俺はやぶくんが好き。
ちねんはひかるくんが好き。
俺は、ひかるくんの隣にいるやぶくんが好き。
ちねんは、やぶくんの隣にいるひかるくんが好き。
「あーあ、俺やぶくんと付き合うチャンスだったのに。バカだなー…俺。」
「ほんと、バカなりょうすけのせいで僕も巻き添えじゃん。」
ちねんを見れば、笑っていて、俺もつられて笑ってしまった。
「やまだ、ちねん。」
「だいちゃん…」
それまで黙っていた他のメンバー達も、笑っていた。
「帰りにみんなでごはんでも食べに行こっか。」
「もちろん、世話のかかるバカなやぶとひかるのおごりで。」
メンバーやちねんを見てたら、これでよかったんだって思える。
やぶくんに奢ってもらうつもりはないけど、ひかるくんには一番高いもの奢ってもらおうかな。
「りょうすけ。」
「ん?」
「…ありがと。」
「…おう。」
やぶくん、ひかるくん。
俺たちは大丈夫だから。
絶対二人で戻ってきてよね。
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