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Side.h
楽屋を飛び出して、やぶを探す。
俺は馬鹿だった。
やぶが隣にいることが当たり前になって、
一番大切なはずだったのに、そう思えなくなってた。
散々傷つけておいてまた隣に並びたいと思うのは、我が儘かな。
俺ってほんと最低。
そんなことを考えながら探していると、使っていないはずの楽屋から光が漏れていた。
「やぶ、いるの?」
緊張しながらもドアを開けると、ついさっきまで泣いていたような顔のやぶが座っていた。
「ひかる…来たんだね。」
やぶは、俺が来ることがわかっていたようだった。
早く伝えなきゃいけないのに、
いざ言おうとするとなかなか言葉がでてこない。
「やぶ…俺、」
「俺ね、ひかるのこと忘れようと思った。」
「やぶ…?」
やぶは笑っていた…いや、笑おうとしていた。
「やまだに頼ろうとした。俺のこと好きでいてくれるあいつのこと、利用しようとしたんだ。」
やぶがあまりにも悲しそうな顔で言うから
何も言葉がでてこなかった。
ただ聞くことしかできなかった。
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