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え?ため息?
ひかるに言われたとおり答えたのに、何が不満なんだよこいつ。
俺の不機嫌な顔を見てひかるは「や、答えはそれでいいんだよ。」と慌てて言った。
「じゃあ何。」
「…やぶ、告られすぎ。」
ひかるはもう一度大きくため息をついて「あー…もうっ」と頭をかいた。
ていうかそれって俺のせいじゃないよな。
「俺悪くないじゃん。」
俺の言葉を聞いたひかるは呆れたような顔で俺を見てきた。
「やぶが可愛さ振りまくからでしょ。可愛すぎるやぶが悪い。」
そう言って俺を抱きしめるひかる。
幸い時間的に帰宅部はもう帰ったし、部活の奴らはまだこっちには来ないし、他に人がいなくてよかった。
が、いつ誰が来るかわからない。
「ひかる、見られちゃうから…」
ひかるを離そうとするが、離してくれる様子は無い。
「全校生徒に見せつけてやりたい。やぶは俺のだって。」
ひかるの声はいつになく真面目で、少し震えていた。
「ひかる。」
もう一度名前を呼ぶと、ひかるは体を離した。
「俺は、ひかるだけが好きだよ。俺はひかるのものでしょ?」
たまにしか見せない俺のデレな部分。
ひかるは安心したようで、俺の大好きな笑顔を見せた。
「よし!俺絶対高校合格する!で、学校の公認カップルになる!ずーっとやぶの側にいる!」
「…ばーか。」
嬉しいけど、恥ずかしくて。
俺は家へと歩きだした。
「あ、やぶ待ってよー」なんてついてくるひかるの宣言が本当になるまで、あと少し。
End.
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