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「そういえばその左目の眼帯どうしたんだ?」
「怪我を負って見えないんですよ」
その言葉に永倉はバツの悪そうな顔でぽりぽりと頭をかいた
「なんか…ごめんな?」
謝られるとは思わなかった…
左目が見えないと聞けば大体の人は同情や哀れみの目で見てくるだろう
なのにこの人は謝った
刹夜は胸がズキンッと痛くなるのを感じた
胸の辺りをギュッと抑えて笑顔で言葉を返した
「平気ですよ!左目のせいで死ぬって事は無くなりましたから」
「左目の死角を狙われたら…」
「本能が左目の死角を警戒しますから」
刹夜は強く胸の辺りの着物を掴みながら笑った
「做崎」
道場に突然現れた副長
怪訝そうな顔をしながら腕を組み刹夜を見据えていた
皆の視線が刹夜から離れた瞬間、刹夜は軽くため息をつき前髪をクシャッと掴む
その様子を見た土方は做崎に睨みを効かしながらもう1度名を呼んだ
「做崎。ちょっと来い」
刹夜は前髪を手から離した
その時にはもう笑顔の刹夜がいた
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