10.真実のライト

9/23
3693人が本棚に入れています
本棚に追加
/808ページ
ルナの白い身体は闇夜の黒に染められ、すぐにどこかも分からなくなる。 時計は六時を示していた。 待ち合わせ時間まで残り一時間。 ロキは行動する機会を伺っていた。 「あの……」 「何だ?」 ハジは窓を閉めるとロキに振り返る。 そこでは鎖に繋がれたロキには届かない距離だ。 だが、ハジたちと共に旅をする中で常に気弱な風を見せている。 今さら逃げるなんて思っていないのか、油断するときが多くあるのだ。 比較的過ごす時間が多いハジはその傾向が強い。 その油断を逆に利用しない手はなかった。 「よくこの町には来るんですか?」 「あぁ。 大きい町だからな。 盗んだ物はここで売りさばく。」 機嫌が良いのかハジは普段よりも饒舌になっている。 ロキはホッと胸を撫で下ろし、さらに会話を続けていった。 「人が多いように思ったんですが、お祭りでもあるんですか?」 「今夜は月に一回の市だからな。 買い手が集まってるんだろ」 ハジは窓の外を眺める。 窓の外はイルミネーションに彩られ、はしゃぐ子供たちが走って行くのが見えた。 .
/808ページ

最初のコメントを投稿しよう!