0人が本棚に入れています
本棚に追加
吹き飛ぶ訳ではないが、
そのまま直立した体勢でアスファルトに倒れ込んだ。
最悪な音がした。
ここでようやく大毅が溜めに溜めてさっきの続きん話す。
「俺よりソイツの方が全然強いぞ」
言うが早いか怒鳴りながら殴りかかってくる残り五人。
一瞬で終わった。
ただその短い時間はリーダーが目を覚ますのには充分だった(正確に言うとぽつぽつと降ってきた雨が気付けになったと思われる)
怯えてるそいつに最初に言われた事のきっかけになった一言を一部省略して放つ。
「「兄ちゃんさぁ、今金欠なんだよねぇ」」
怯えるソイツは素直な子供のように何度も何度も頷き、倒れている(起きたのはリーダーだけ)少年達の財布をはしごして震える手で集金した札を渡す。
24000円、その場で山分け。
「おう、サンキュー」
と言って微笑む大毅につられてペコペコしながら笑うリーダー。
の顔、中央にグーパンチ。
「今のは、酷い…」
またもや気絶したリーダーは本当に可哀想だった。
可哀想にしたのは俺達だった。
そして何事もなかったように路地裏から出る。
「あっ」
あるものを見つけた。
「なんだよ、妖精か?」
「その発言は警察を要請されるよ」
「うまくないな」
「………」
ともあれ、この辺一帯の土産屋は回った筈なのに外れに古びた土産屋を見つけた。
「あんな所に土産屋あったか?」
「俺も、今見つけた」
と答える。
不思議な雰囲気を放つ、
その土産屋に俺たちは向かうことにした。
中に入ると少し埃臭かった。
八つ橋は、俺にとって外道だと思われる種類は、はたして、なかった。
奥に入るとガラスケースに二本だけ模擬刀が売ってあった。
一本は鞘が金ぴか。
もう一本は黒塗りだった。
その黒塗りの鞘を纏った太刀に何故か見入ってしまった。
男の子なら自然と憧れるものなのかもしれない。
だけど、何か違った。
確実に、何かが違った。
気づくと大毅の反対を押しきって店主であろうお婆ちゃんに刀を購入すると申し出ていた。
12000円ぽっきりのそれを抱えながら、オマケの八ッ橋(固い)を食べる。
この切れ味も何もない刀がのちに俺の人生を変えるほどの出来事を起こすなんて、この時はまだ、全く以て、考えもしなかったし、予想もできなかった。
だからこの時の俺はまだホクホクしていて出鼻を挫かれた事も全く気にならなかった。
もう少しアニメみたいな展開を予想すれば良かったと思った。
最初のコメントを投稿しよう!