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「ぐはっ……」
ドサッと人が倒れる音がする。
床には赤い液体が広がる。
何かを掴もうと伸ばした右腕は力を失い赤い液体を辺りに飛び散らす。
此処は学校の一室。
其処で倒れている少年は最後の力を振り絞って叫んだ。
「思いっきり俺だよ!!!」
倒れている少年は俺だった。
「こんな展開なんか予想も出来なかったわ!!!」
倒れている少年は木ノ上陽楽でした。
血…じゃなくてトマトジュースっていうベタなアレですけど。
「うわっベタベタだよ…展開的にも何か色々…」
こんな展開予想も出来なかった。
まさか修学旅行を無事終了し、代休を挟んでから登校してまさかの刀なんて物を買ったから反省文を書かせられるとは思わなかった。
まあ、至極当然といったらそうなのかもしれないけれど。
先にトマトジュースの説明をするけれど、まあこれは差し入れであって。
しかし何故か初めて見る後輩にトマトジュースが好きだと言うことが知れているのは恐い。
恐ろしきかな情報社会。
恐るべき現代っ子。
まあ、ようやく書き終わった反省文(原稿用紙5枚)を提出し終えて今に至る
右手痙攣しちゃってるよ…
ってかYシャツが…
「いや、まず先に床を気にしろ…」
適当にボロ雑巾を掃除用具入れから引っ張りだし、床を拭き取った。
んで、そのままゴミ箱。
ついでに缶も。
補習室(備品倉庫)から出て教室に向かうとクラスにはどうやらまだ女子が残っていたらしかった。
女子特有のキャッキャした話し声は廊下に筒抜けというよりは壁抜け(裏技みたいだな…)?状態だが全く何を喋ってるんだか分からない。
少し躊躇った後にドアを開けると、中には5人程の女子(全員何故か他クラス)がいた。
一人知った顔がいた。
俺が入ったせいで空気がしん、となったがさっきより、より一層色めきだった。
来たじゃん、とか
運命じゃね?とか
ってか血?
キャー!!!
って最後は黄色い悲鳴じゃなくなっていた。
「えっ陽楽大丈夫っ!?」
なんて見知った顔がかなり焦った声で話しかけてきた。
捲り上げたYシャツの裾を下ろしながら答える
「いや、なんかトマトジュース貰ったんだけど…溢して…」
「へぇっ……て、えぇ!?」
「ん?」
「ん?じゃないよ!Yシャツっ!」
真っ赤になりながらも目を逸らさないのは男子で言うところの興味ないから見ねーよ、て言っておいてでも本能には逆らえないみたいな感じだろう。
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