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いやこの場合俺はもう少し周りを気にするべきだった。
「いやいや、でも慌てすぎだろ瑞紀」
そう、彼女は筑波瑞紀。
まあ出逢いは最悪(俺が)この辺はその時がきたら適当に説明しよう。
「いや、転ぶぞ」
ドシャーっと後ろ向きに尻餅をついた。
本能には逆らえなかったため、薄いピンクの何かが、何かは分からないが確かに嬉しいと思ってしまった。
何かは分からないが。
その布が何かは分からないが。
「大丈夫かよ…ほれ」
上半身裸のままだけど手を伸ばすとしっかりと掴まって立ち上がる。
んで俺は直ぐに着替えを開始する。
Yシャツの替えがあったからそれに着替えて荷物をまとめる。
「そういや、瑞紀こんな時間まで何やってんだ?」
「あぁ、陽楽を待ってたんだよ」
「そっか、じゃあ帰るか」
「うん!!」
にっこりと笑う瑞紀はやっと一メートルを越した学校のヒマワリよりも一足先にクラスに咲き誇った。
玄関を開けるとカレーの匂いが漂ってきた。
「ただいまー」
「あっ、ひーくんお帰り」
かばんを所定の位置に置とトマトジュースまみれのYシャツをコッソリと洗面所にある洗濯機にいれた。
手洗いうがいを済ませ、
リビングに向かう。ソファーにどっかりと腰をおろすと。
突然美陽が、
「私は槇美陽です、ひーくん(陽楽)とは幼馴染みで家族ぐるみの付き合いです。二人とも両親は海外に会社を持っていて、因みに槇家は木ノ上家の秘書です。だから帰ってくる日は同じなんだけれど、ほとんど帰ってきません。で私の家はこの隣なんだけれど寝るとき以外は基本こっちで生活しています」
ふぅ…と溜め息をついた。
結構止めどなく喋ったな。
「ってかなんで!?」
筆を執ってる、この場合違うけどそいつが大変なバカだから。
と美陽が言った。
俺は確かに何かが崩れる音を聞いた。
とりあえず無視して。
香辛料やらの香りが急激に空腹感を煽った。
「飯…」
「ちょい待っとれ」
と言い残して洗面所に向かった。
トタトタと歩いてきた美陽は凄惨な笑みを浮かべていた。
ちょいちょいと手招きをされる。
恐らくは食器を出しやがれと言うことだろう。
食器を出したにも関わらずまだ酷い笑みを浮かべていた。
どんな顔をしていても美少女は一貫して美少女なんだと思った
「なんだよどうした?」
と俺が尋ねると無言で返された。
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