叶わない

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瀬良も、凪に負けないぐらい可愛い。けど、瀬良は天使みたいだから美少女とは少し違うかな? 「気分良くなったから来たの!」 「そっか、よかった。」 「……猫かぶり」 「なーぎ?何か言った?」 「いいえっ何もございません!」 凪は、何故か瀬良が笑うと怖がる。 「瀬良?」 「なーに?」 こっちを向いた瀬良は普段通りで。どこに怖がる必要があるのか、わからない。 「あ、そう言えば理事長変わったの知ってる?」 「え。知らないけど…かわれるものなの?」 「あのタヌキ、とうとう糖尿病になっちゃったからね。」 「あー…まあ、あれだもんね」 理事長は、本当にタヌキみたいなんだ…… 「で、今から挨拶という名の召集が大ホールであるんだって。めんどくさい」 「へ、へ~…じゃ、行かないとウザイな。てか名前知ってる?」 寮から大ホールへと歩みを変える。寮から大ホールは余り離れていないから別段苦にはならない。 凪は瀬良を振り返り大して興味なさ気に聞いた。 「んと……」 「なに、知らないとか?」 話しながら大ホールに入ると、結構な人数が既に集まっていて、いつの間に…と感心してしまう。 「ん~と、確か…」 「ま、座ってからでいいよ…」 まだ思い出そうと唸る瀬良を苦笑しながら一番後ろの席に座る。 「思い出した!春日 辰巳っていう人だよ」「え…?」 僕の驚きの声は、瀬良の耳に届かなかった。いや、喉から出てこなかった。 「静かに。」 この、一声によって全ての音は消え去ったから。 「今日から理事長の春日辰己だ。まだまだ未熟者だがお手柔らかに頼む。」 講堂のステージに立つのは紛れも無く、辰己。 なんで、どうして、とそれだけが頭を駆け回る。でも、すぐに理事長だからかな、と結論づけた。 .
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