はじまりの音色

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4月。 俺は学校へと続く坂道を、憂鬱な気分で歩いていた。 「ねえ、あの人ってさー…」 「シッ、聞こえちゃうって」 そんなことを言って笑う女子など気にせずに、耳にイヤホンをつけて、携帯から音楽を流した。 別に今みたいなのを聞きたくないから、という訳じゃない。 …断じて違う。 「はあ…」 俺の名前は日吉 正吾(ヒヨシ ショウゴ)。 今日で詩音(シオン)学園の2年生になる。 部活には無所属、趣味は音楽鑑賞と読書の無個性な奴。 背も普通、顔も普通なもんだから、ホントにどこにでもいる高校生だ。 …ある出来事により周りから特別視されていることを除いて…。 「おはよ、日吉」
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