はじまりの音色

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「逃げ足の早いやつめ…」 「どうせクラス一緒だからすぐ会うのに」 適確なツッコミをありがとう。 クラスが一緒なの、完全に忘れてたよ。 「それより、僕たちも行かないと。新年度早々、遅刻は嫌だからさ」 そう言われて周りを見ると、俺と賢斗以外に人はいない事に気がついた。 まだ予鈴がなったばかりとはいえ、さすがに焦りが出てくる。 「それもそうだ、行こう」 そう言うと、教室に向かって二人で歩きだす。 この学校は学年毎に階が異なり、1年生は4階、2年生は3階、3年生は2階と教室が別れていて、美術や音楽、体育などの授業や、部活の時には、1階から行ける体育館と2~4階にある特別教室に、といった造りになっている。 幸い、俺の教室は階段を上がってすぐなので遅刻にはならなさそうだ。 「それじゃ、ここで」 「うん、また後で」 階段の前で賢斗にしばしの別れを告げ、自分の教室へと向かう。 ちなみにこの時、3組の教室から女子の歓声が聞こえたのは割愛させていただく。
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