アネモネ

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「はぁ、もう何もしたくないな…」 私が彼と初めて会ったのは二年前、高校の図書室で取ろうとした本が一緒で手が触れ合った…なんてロマンチックなわけなくて、私の読んでいた本が彼の好きな本らしくて、彼から話し掛けてくれたのが最初。 そのあと仲良くなって一年前に付き合い始めて、大学も一緒で、 幸せ…だった。 昨日までは、今は…その逆。 昨日のこと、とは… 「美奈、…これを受け取ってほしい」 彼が突然私を呼び出して…花をプレゼントしてくれた。 プレゼントをされてどうして幸せじゃなくなるかって? それは、プレゼントされた花が…アネモネだから。 アネモネの花言葉はたくさんある。 無邪気や清純無垢などの意味もあるが、私と彼の場合は…はかない恋、これが花言葉としてもっともあっている。 彼は明日から海外に数年間いることになっている。 もちろん私は日本で待っている。 ていうかいけない。 そのことは一ヶ月ほど前から知らされていたために心の準備はできていた。 彼が帰ってくるまでは遠距離恋愛になるけど待ってるつもりだった。 だから、アネモネの花は辛かった。 真っ赤なアネモネの花が私に語りかける言葉、はかない恋。 そう、彼が言いたいのは〝別れる〝ということ。 遠距離はせずに別れる。 昨日の花によって告げられた言葉は辛く、正直今だに受け入れられない。 「もう…やだ…」
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