アネモネ

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「意味がわかりません…」 本当に意味がわからなかった。 花で落ち込んでいるのにそんな私に花を買わせる気なのだろうか? 「お客様になっていただけるのでしたら、はかない恋がうまくいく方法をお教え致します」 はかない恋がうまくいく方法、今更あるのだろうかと思ったが彼と別れることをまだ引きずっているので聞くことにした。 「…教えてください」 「ありがとうございます。それではお客様、この花を買っていただきたいのです」 そう言って差し出してきたのは紫のアネモネだった。 「ふざけてるの…?」 怒りが沸いて来る。 「いいえ、ふざけておりません。これを彼にプレゼントしてください。うまくいきますから」 どこにどう自信があるのかはわからない。けど、何故かこの人の言うとおりにしようと思った。 「わかりました…」 「それではあちらでお支払いになります」 うまくいく根拠もないのに私は花を買い、そして次の日、私は紫色のアネモネを持って空港に行った。
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