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「うるさい。バカまさ」 きっと睨まれ、小さくなってしまう俺を、虎南とかなが笑った。 海か。あの日以来だな。 有加の弱い部分が顔を覗かせ、そして二人の距離が近づいたあの日。 あれから季節は変わってしまって、一緒に二人の関係も変わってしまった。 あ、水着実家に置いたまんまだ。 まあいいや。短パンにTシャツでもいい。 残った味噌汁をぐいっと飲み干す。 「卵焼き…おいしい」 「いいなー。せぐ…」 「そんな顔して見てもあげませんよ!私が浦正にもらったんですから!」 すでに太陽は真上にあるのだろうか。 起きたばかりの時にはさほど気にならなかった蝉の鳴き声が、うるさいくらいに聞こえる。  
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