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「あ、ちゃんと場所取りしてたんだ」
後ろから声がするので振り返ると、水着に着替えた三人が立っていた。
「お。みんなかわいーじゃん」
「でしょ?この間新しいの買ってたんだー」
「私は、去年のです」
「私も去年のやつ」
ああ。なんで引越しのときに水着を持ってこなかったんだ。
いや、大体水着をどこにしまったのかも思い出せない。
「まーくん、今度水着買いに行く?」
超能力でも使ったのか。それとも俺の顔に出ていたのか。
有加が言った。
「ん。じゃあ次の休みの日にでも」
「りょーかい。ほら、コナン達の所行こ?」
すぐそこにいたはずの二人の姿はなく、かなが虎南に引きずられるように走っていく後ろ姿だけが見えた。
「あいつら元気だな」
「まーくんの方が若いでしょ。何言ってんの」
二人で笑う。そして右手を有加の前に差し出せば、すぐに握り返してくれる。
「よし、行くよ!」
「お、おいっ、いきなり走んなよ!」
有加に引っ張られ、虎南達の方へと走る。
「きょもさーん!こっちですよー!」
肌が焼けるほどに照りつける太陽。たまに感じる風は、海の香りを運んでくる。
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