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「せぐ!海だよ、海!」 「コナンさん!ちゃんと前見てください!」 前に座っている二人のやりとりに、自然と笑みが零れる。 それは有加も同じだったらしく、目が合ってそしてまた笑った。 長いトンネルを抜けて、車窓から見えるのは海だけで、確かにはしゃぎたくなるのも分かる。 虎南がいきなり車の窓という窓を全部開ける。 エアコンで調整されていた車内が、一気に熱気と海の匂いでいっぱいになる。 じわりと感じるおでこの汗に、やっぱり夏なんだなあ、と感じた。 「海に行くんだったら、私が車だすよ!」と言ったのは虎南で、出会ってから日は浅いが、それなりに虎南の事は分かっている。 だからこそ、不安だった。 しかし、いざ車に乗り込んでみれば、危なっかしいこともなければ、運転が荒いわけでもなく。 「人は見かけによらない、か。虎南、すまん」 パラソルを開きながらひとり言。 しかしそんな俺の呟きが聞こえている人は、ここにはいない。 いくら夏休み前と言っても、休日の浜辺はそれなりに賑わっている。 パラソルを立て、やれやれ、と右の肩をぐるりと回す。 ついでに首も回せば、パキッと音がした。  
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