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「そんなに必死にならなくても・・・。とにかく、私達はあなたのその人助けに救われました。ここにいる全員はあなたに感謝しています。」
顔を上げたロイさんが薄く笑いながら、そんな事を言う。
「そ、そうですか・・・。」
俺はそう呟き顔を伏せる。
・・・こんな時、どんな顔をすればわからない。
笑えば良いのか?
それとも、堂々と胸を張るべきなのだろうか?
ただ・・・なんというか、悪い気はしない。
むしろ、とてもいい気分だ。
・・・でもさすがに気恥ずかしい・・・。
「あれ・・・?シキさん、顔が・・・。お熱でもあるんですか?」
「えっ・・・?」
隣にいるアリスに、そう言われて始めて顔が熱を持っている事に気付く。
「あっ!いや、これは・・・!」
それを指摘されて更に顔が熱くなるのを感じる。
「うふふ・・・どうやら、私達の英雄はとっても恥ずかしがり屋さんの様ですね。」
「ちょっアリアさん!?」
アリアさんのとんでもない発言につられ、決してバカにした物ではない小さな笑い声が聞こえてくる。
「そうなんですか?シキさん。」
そう言って顔を覗き込むアリス。
「ちょ、ちょっと待て!顔を見るな!」
顔を見られ無いように顔を背けるが、既に時遅し。
「あっ、本当に真っ赤・・・。ふふ、可愛いですね。」
そう言いながら微笑むアリス。
さっきの仕返しのつもりか・・・!
俺は暫く、この恥ずかしい空気に耐えるしかなかった・・・。
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