1章

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それから職員から仕事についての詳しい説明がされた。 朝6時から夕方6時まで二人をモニターする事。朝、昼、夕方に調理室で二人の食事を作り持っていく事。彼らについている首輪は外さない事。彼らに感情移入をしない事。 2つはわかるが、後の2つはなんとも言いがたい説明だ。そもそも彼らに首輪をつける意味すらわからない。職員に聞いても彼らと話せばわかるとか言って教えてくれないし。 仕方ない。彼らとコンタクトをとってみるか。 「失礼するよー…。」 おそるおそる彼らのいる空間に続くドアを開き中に入る。よく見るとベッドの脇に色々な物があった。洗面台の様なもの。カーテンで仕切られたシャワー。飲み物用の冷蔵庫など。そこにいれば大抵の生活くらいは出来そうな気がした。 「こ、こんにちは。」 彼らに声をかけてみると少年の方がこちらを向いた。 「こんにちは。アンタは誰だ?新しく来た人?僕は空斗って言うんだ。横のこいつは美月。アンタは何を教えてくれるんだ?」 「え、あ…。俺は木下 一馬って言うんだ。俺は何も教える事ってのは無いけど、飯とかを持って来るように言われたけど…。」 そう俺が言うと彼らはそっぽを向きまた二人で遊び始めた。 こちらを向く素振りも見せないので、この空間から出る事にした。 ドアを開けると松木が立っていた 「すまないね。彼らは自分達に何かを教えてくれる人以外は興味ないんだ。気にせずに頑張ってくれたまえ。」
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