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「マモちゃんって、なんか猫みたいだよね」 そう言って井坂の陰から出てきて、クスリと小さく笑うのは、才原 涼(サイハラ リョウ)。 俺より少しだけ低い身長。色白で、髪はふわふわと揺れるこげ茶色の猫っ毛にまぁるい大きな瞳。 紺ブレザーなんか着てなかったら、一見女の子なんじゃないか?と思うくらい可愛い顔立ち。 井坂の中学時代からの友達だった為、一年の時、クラスは違えど仲良くなり二年で運良く三人同じクラスになったのだ。 「だーって、すげぇ天気良すぎだし?あぁ~、この席ともおさらばかぁ」 ぐっと伸びをして、席替えから3ヶ月間世話に(?)なった席を名残惜しく立ち、机のサイドに引っ掛けてある学校指定の鞄を掴んで、筆箱を入れ、帰り支度を済ませる。 「俺、今日部活ないし、涼と遊びに行くんだけど相原も行く?」 三人で教室を出たところで、井坂がそう言ってくる。 先程の眠気が尾を引いて、大きく欠伸をしてから考える。 実はさっきからじゃなくて、朝からボーッとした感じで眠い。 体調が悪いわけではないが、今から遊ぶ元気が出ないのはその眠気のせいだろうか。
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